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―夕食後― 深夜の家に送り 玄関先での事だった 深夜は玄関のノブに手を掛け 開ける その時、不意に振り向き 俺の元へやって来て 深夜「送ってくれて、ありがと」 らしくない事を 嘘の無い瞳で見つめられながら 言われて 戸惑い 急に恥ずかしくなって 自分の少し長い 襟足の髪をクリクリと いじった 深夜「照れた?」 秋「てっ、照れてねぇよ!」 尚もいじり続ける 深夜「嘘、秋が照れると髪の毛をいじる癖がある」 それに俺はハッとして 髪をいじるのを止めた 自覚があった行動だけど まさか照れてる時とは 思わなかった…… 深夜「晩御飯、ご馳走さま」 秋「あ、あぁ…おばさん今も居ないのか?」 深夜「居ない」 ハッキリと言われた 秋「そうか……明日も来いよ」 深夜「うん」 小さくうなずくいた 深夜「それじゃ、また明日……おやすみ」 秋「おやすみ……」 深夜は玄関に向かい 振り返らずに 姿を消した それを見送り 俺も自宅へと足を向けた その途中 ズボンのポケットに入れていた携帯が 購入してから一度も変えていない 着信音を鳴らしだした
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