我がまま娘

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そして二人が戻って来て 家を出た 赤いランドセルを背負って 片手には体操服の入った巾着を持って 歩く春の後ろを阿希 そしてその後ろを俺が歩く あ、制服どうしたっけ? 春「あ!?お兄、ハイ」 そう言って巾着の中から 俺のブレザーを手渡してきた 何でお前が持ってるんだって 聞こうとしたら 阿希「偉いねぇ、私が忘れた…もとい、投げ捨てた、お兄ちゃんの制服持って来てくれたんだ」 春の頭を撫でる阿希 この野郎 何故、言い換えた? 何故、ニヤケ顔で俺を見る 言い換えなければ 忘れただけですんだものを 秋「この野郎……」 睨みつける 深夜「秋……」 振り向くと 歩いてる俺達の後ろに 深夜が着いて来るように 歩いていた まあ 方向が同じだから 着いて来るのは当たり前だけど 秋「おっす、深夜」 ニコッと笑みを 向けてくれたケド すぐに無表情に戻り 俺の後ろに隠れる様に 立っている阿希を 睨んで(?)いる 微妙な緊張感があった 春「おはよう、深夜姉!」 一気に緊張が解けた 春はこういう時に 空気を読む 実際に読んだ上での行動なのか ただ読んでる訳でわない行動なのか わからないけど 助かる 秋「う、うっし、行くか」 深夜が俺の横に並び 歩きだす 阿希は春と並んで歩く 春は地元の小学校、 俺の母校でもあるけど 電車に乗る必要が無く 交差点で友達らしい ランドセルを背負った子達と 学校に向かう分かれ道を 歩いて行った 阿希「私、先に行くわ…」 は? 気まずいのは分かる 深夜にあまり良い感情を抱かれてないのは さっき、すぐ分かった 深夜がどう思ってるのかも まったく分からないけど それでも… 秋「待てよ」 走り去って行こうとする 阿希の腕を掴む 阿希「何よ、痛いんだけど」 秋「一緒に行こうぜ」 何も言わず目を反らす阿希 直感だけど 多分間違っていないと思う コイツは向こうの世界では 友達と言う者が居なかったんだと思う 友達を作るのも得意ではない さらに 自ら遠ざけて来た コイツの表情からは そんな感じのことを感じた 秋「一緒にいくぞ。深夜もそれでいいな?」 阿希「………」コクッ 深夜「………」コクッ ふたりは黙って頷く
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