我がまま娘

8/33
前へ
/131ページ
次へ
どうやら 肩をつかんでつもりだったけど どうやら肩に背負っていた 鞄だけをつかんでいたらしい 恐らく、鞄だけを つかんでいたせいで 本体だけは人の波に流されたようだ 秋「(何処だよ、あのアホは?)」 深夜と一緒になって 辺りをキョロキョロと探す 見えるのは 人の頭ばかり 昨日も同じ事したと思うが 気のせいじゃないよなぁ? くそ、何でアイツも小さいんだよ 深夜「(いた!)」 ツンツンっと 腹をつついてくる深夜 小さいと便利な事もあるな とか思ってしまったが 今はそんな場合じゃない 俺は深夜の顔と同じ位置に しゃがもうとしたが 無理だった いや、やろうと思えば出来る だけど、出来ない 俺の膝の先には前の人の膝の内側があった 下手すれば 小学生のイタズラよろしく 膝カックンすることになる 勿論、睨まれる事間違いなしだ とりあえず 阿希救出は深夜に任せよう 秋「(どんな状態だ?)」 深夜「(今、こっちに気付いて手を伸ばしてる)」 意外に二人の変な関係にも 終止符を打つきっかけが出来た 秋「(届くか?)」 無言で頷き その阿希がいるらしい方向に 手を伸ばしていく深夜 変な使い方だけど 深夜の手には迷いがない 変な関係があるにしても 案外スンナリと距離を縮めるような これなら この変な関係はすぐに解けるな 地獄とサヨナラだ 深夜「(引っ張る、手伝って)」 了解! 秋「(しっかり掴んどけ)」 俺は深夜の人混みに突き刺さっていて 二の腕しか見えない腕を掴み 秋「すいません、少し失礼します!」 っと 少し大きめで 深夜は腕を差し込んだ 辺りの人に呼び掛け 深夜の腕を引っ張る 阿希の腕が見えると同時に 電車は俺たちが降りる駅で 扉を開き 沢山の人を吐き出す その流れに乗り 深夜とその腕に繋がっている 阿希と一緒に飛び出す 深夜の手には阿希の手がしっかり 握られていて 阿希は下を向き固まっている と思ったら いきなり顔を上げて 俺を睨む 微妙な沈黙のあと ブワァっと泣き出した そのまま泣いているのも 放置出来ないので 駅を出て、学校に向かった 深夜が先頭で 未だ繋がった阿希を引っ張り 俺は阿希を宥める 嗚咽と泣き声で 何を言ってるか分からない とりあえず 謝り続けた
/131ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加