外史 似て非なる世界

12/20
93人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
『申し訳ない』 今、私はまた頭を下げている。 『あーあまりに聞いていた話と違ったもので………。しかし、臣下に加わりたいというのは変わっておりません。どうか末席にでも私を加えてはくださいませんか?』 聞いた話というのはでまかせだが、正直に違う世界から来ましたと言って信じられる筈がない。 気がふれてると思われて、臣下に加えてくれない危険が高まるだけだ。 『いいよー。気にしないで!よしっ!じゃあ歓迎会をしようか!愛紗ちゃん、予算ってどのくらいあったっけ?』 にこやかに笑った劉備?さんは関羽と名乗った女の元へと駆け出した。 『桃香様………くらいしか……ここで使って…………いけません』 『でも……せっかく………のに…………なんとか…………』 関羽様はどうやら渋っているらしい。 途切れ途切れにしか聞こえなかったが、恐らく金が足りないのだろう。 父は決起当初は金も兵ももっていなかったらしいから、今彼女達が金を持ってないのも当然だ。 それよりも気になる事がある。 近くで座って空を見上げていた張飛様へと問い掛けた。 『張飛殿。先程劉備様も名乗られていた真名とはいったい…』 『ん?何を言ってるのだ?真名は真名なのだ』 ダメだ。聞く相手を間違えた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!