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『申し訳ない』
今、私はまた頭を下げている。
『あーあまりに聞いていた話と違ったもので………。しかし、臣下に加わりたいというのは変わっておりません。どうか末席にでも私を加えてはくださいませんか?』
聞いた話というのはでまかせだが、正直に違う世界から来ましたと言って信じられる筈がない。
気がふれてると思われて、臣下に加えてくれない危険が高まるだけだ。
『いいよー。気にしないで!よしっ!じゃあ歓迎会をしようか!愛紗ちゃん、予算ってどのくらいあったっけ?』
にこやかに笑った劉備?さんは関羽と名乗った女の元へと駆け出した。
『桃香様………くらいしか……ここで使って…………いけません』
『でも……せっかく………のに…………なんとか…………』
関羽様はどうやら渋っているらしい。
途切れ途切れにしか聞こえなかったが、恐らく金が足りないのだろう。
父は決起当初は金も兵ももっていなかったらしいから、今彼女達が金を持ってないのも当然だ。
それよりも気になる事がある。
近くで座って空を見上げていた張飛様へと問い掛けた。
『張飛殿。先程劉備様も名乗られていた真名とはいったい…』
『ん?何を言ってるのだ?真名は真名なのだ』
ダメだ。聞く相手を間違えた。
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