外史 似て非なる世界

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なんといえばいいのだろうか。 上下左右、全ての方向から強風が吹いているような。 妙な閉塞感を一時味わうと、急に視界が真っ暗になり意識を失った。 『こいつ、生きてるか?』 不意に声が聞こえた。 周囲からは助けを求める悲鳴。剣と剣を打ち合う音。それは紛れも無い戦いの気配。 そのような場所で自分は無防備に寝そべっている。 その事を把握すると、一気に眼を開いた。 『うっ………』 視界に入った太陽。 それに一瞬眼が眩んだが、すぐに辺りを見回した。 燃える小さな村。少し先の家の合間には、数人の村人の死体が転がっていた。 『おっ、生きてやがるか』 先程の声の主。 その男は目の前にいた。 額には黄色い布。 統一感のない鎧をところどころに付け、僅かに欠けた剣を肩に掲げて立つ姿は、決して強そうには見えない。 だが実力のなさを補うためか、その周囲には20人ほどの人間が同じような格好でこちらを見ていた。 『ふむ、通った鼻に大きな瞳、男だがなかなかに綺麗な顔立ち。………これは売れるな。連れていけ』 目の前に居た男は品定めをするようにこちらを眺め、そういった途端、側に控えていた数人の男達が剣をこちらに向けながら近付いてきた。
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