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『さ、立って。私達は仲間になるんだからそんなに畏まらなくても大丈夫だよ』
『いえ…しかし………』
義勇軍。つまり、父上が決起した時代なのだろうか。
ならば先程の自称黄布賊は本物の黄布賊だったのだろうか。
考えはまとまらないが、今は差し出された手が問題だ。
伸ばされた手を取らないのは失礼に当たるかもしれないが、誰の奥方かもわからない方に触れては後々問題になるかもしれない。
そう思い戸惑っていると、黒髪の女が急に慌てて前の女に近づいた。
『桃香様…こういうのは最初が大事なのですから………威厳ある姿を見せねば見限られるやもしれません…いつもの様にされては困ります!』
小さくそういうが、こちらにも丸聞こえだ。
しかし、桃色の女は首を振った。
『愛紗ちゃん。私は仲間になってくれるからこそ、いつもの姿を見せるべきだと思うよ。』
そういって満面の笑みを浮かべ、再度こちらに目を向けた。
安心を与える目。
優しさに満ちた目。
こんな目は見たことがある。
だからだろうか、思わず手をとってしまった。
『ん~よいしょっと!』
力いっぱいといった感じで引っ張り、私を引き起こす。
『ありがと、これからよろしくね!名前を教えてくれる?』
『はい!私の名は劉封、字は子堆と申します。どうか劉備様にお目通りをお願いします』
『?』
『?』
『?』
そう言った私を、三人とも不思議そうに首を傾げた。
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