外史 似て非なる世界

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『みんな、今日はお疲れ様!』 夜、食事も終えた後に小さな部屋で私達は集まっていた。 礼ということで各自に部屋を当てられていたが、劉備が話があるという事で一つの部屋に集められた。 『遅くにごめんね、そういえば劉封君にこれからの目的を話してなかったのに気づいてね』 眠そうな張飛に申し訳なさそうに謝る彼女。 『私達の最終目的は愛紗ちゃんが言ったらしいから知ってると思うけど、とりあえず近場の目標だね』 そういうと、横に控えていた関羽が続きを話し出した。 『劉封は知っているか?かの有名な占い師、管輅の予言を』 『いや、聞いたことはないですが…』 そう返した私の言葉に関羽は若干眉をしかめ、続きを語りだした。 『管輅は予言したのだ。この乱世を静める天の御遣いが泰山に降り立つと。今この中華には知らぬ者はいない程の有名な予言なのだが………』 何故知らないのだ?そういいたげに疑いの視線をむけてくる。 やはりどうにも関羽はこちらを疑っているらしい。 自己紹介の時、真名を言った劉備達を冗談だと思い信じなかったのが原因だろう。 『そ、それでね!えっと、情けない話なんだけど、今の私達にはお金も、後ろ盾も、兵も、全くといっていい程無いの………』 関羽の疑惑を掻き消すように、慌てて劉備が入ってきた。申し訳なさそうにポリポリと頭をかき、謝る劉備。 『わかった。乱世を静めるという天の御遣いを立てる事で、我等にも後ろ盾や義勇兵が集まりやすくなるという狙いか』 早くに理解した私に嬉しそうに頷いた劉備は、手を叩いた。 『うん!泰山はここから一日もかからない所にあるの。明日はそこに行くからしっかり休んでてね』 そういって横を向いた劉備は微笑んだ。 つられてそちらを見れば、既に座ったまま寝息を立てる張飛の姿。 『遅くにありがと!また明日ね。おやすみなさい』 よいしょっと声を出して張飛を抱えると、寝床へと運び、こちらに手を振った。 もう話は終わりらしい。 関羽と連れ立って別れを告げて部屋を出た。
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