異界 不思議な出会い

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『うん、わかった。けどね、元の世界では君は死んじゃってるから戻せない。だから君にはこれからもといた世界と、似て非なる世界『外史』へと旅立ってもらうよ。そこで君の知った本当の歴史を変えるんだ』 声と共に白い世界に歪みが埋まれた。 黒い渦のようで、中にはなにも見えない。その異様な空間は徐々に広がり、大人が入れる程の大きさになると、拡大を止めた。 これが外史という所への門なのだろう。 『世界はね、繋がっているんだよ。違う世界で起こした君の行動も、元居た世界の君へ選択肢という形で助言を与えれるんだ。例えばね、外史で君が曹操に寝返ったならば、正史の君も寝返るかもしれない。外史で君が赤壁で死ねば、正史の君も赤壁で死ぬかもしれない。外史で君が関羽を助ければ……』 『正史で関羽様を助けるかもしれない。ということか』 パチパチと手を叩く音が背後から響いた。 慌てて振り向くと、そこには10歳程の少年が笑いながら手を叩いていた。 『うん。物分かりがいいし、忠誠心もある。とってもいい部下になってくれそうだ』 先程の声の主。 この異様な空間に相応しく、少年はやはり不思議な存在であった。 そこにいるのに、存在感は偉く希薄に感じる。 どこにでもいるような顔に見えるが、次の瞬間には歴代の猛将達のような風格も感じた。
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