眼鏡は外さないで

気になる人

――――

「――てことがあったの。どう思う？」

ただいまお昼休み中。
中庭でお弁当を広げながら、私は隣のクラスの佐倉暁（さくらあき）に相談した。

「あんたの見間違いだと思う」

暁はバッサリと私の願望を打ち砕いた。

「えーっ！ちょっとくらい、夢見させてくれてもいいじゃん」

私はかわいこぶって、頬をぷぅっと膨らませてみせる。
暁は無表情にあたしの頬をひねり上げた。

「い、いひゃい」

「気持ち悪いから。だいたいあの黒ブチが、あんたなんてみるわけないでしょ？」