プロローグ

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「通りゃんせ 通りゃんせ ここは何処の細道じゃ」 夕方から夜に開く怪しい路(みち)。それは、もののけの通る路だと言われている。 だから、私は暗くなった道を通るのは嫌いだ。 私が抱えるトラウマ……《オカルト恐怖症》とでも言おうか。 これは、流行りもの好きな両親が原因だった。私は、このトラウマに長年ひどく悩まされてきた。 私が三歳の時、両親は巷で話題のリアルお化け屋敷に連れて行った。両親は私の手をひき、意気揚々とお化け屋敷に入ったらしい。 しかし、そのリアルな恐怖に耐えきれず、両親は私の手を離し、自分たちだけ逃げ出した。 その数分後、お化け屋敷に置いてきぼりにされた私は、泣きながらお化け役の男性に抱き抱えられて連れ出されたのだそうだ。 私の記憶にはないのだが、きっと、それがきっかけで、お化けや妖怪、幽霊や暗闇やら苦手で、恐い話を聞く事すらできないようになってしまったのだ。
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