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「……やっぱり樹くんは頭良いんだね。頭脳線の向きがそうなってる。ほら」
ボクに見せ付けるようにページを差し示すキミの細っそりとした白い指。
「へー……」
気のない返事を返した。
添えられた手が心地好くて、想いを顔に出さないように集中してるから。
「……あと、人に本当の感情を見せない、だって」
キミはボクの様子に構わず、本と手を見比べ続けている。
「へー」
それは上手く隠せてるってこと? ボクは気付かれたくないのだろうか? それとも気付いて欲しいのだろうか? この思いに。
「……あと恋愛ね。……一番上の線がすごく強いね、十代かな? すごく強い出会いがあるのかも」
それは多分、今だよ。
キミに出会えたから。それ以上に強いものなんてきっと無いから。
「……っていうか、線多いよ! 女ったらしなのかも!」
キミは線の数をやたら真剣に数えている。
「でも樹くん、将来そうなるのかも。顔もすごく綺麗だし」
「ん? なに?」
「樹くんは顔が綺麗でカッコイイからモテると思うよ」
想像したことも考えたこともなかった。
「そんなことないと思うけど」
言われて嬉しくない言葉じゃない。特にキミが言ってくれるなら。
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