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「知らないの? カッコイイって有名だよ。茶髪でサラサラだし、お目々はパッチリ二重で、他校の子も好きとか聞くよ」
「ホントに知らない。何も言われたこともないし」
聞いたことがなかった。カッコイイとか思われていたことも。
「それに人前でも堂々と話を出来るし」
「そうかな……?」
人前であたふたするのを見せたくないだけで、緊張はしてるのだけど。
キミが目の前にいる高鳴りに比べれば大したことは無いのは確か。
手が離れてキミは顔を上げる。もう少し触れていて欲しかった。
「多分、樹くんは誰にでも優しいし、明るく話すから、誰が好きとか、付き合ってるとか分かりにくくて、言いづらいのかもよ」
「隙無し男?」
「そう、隙無し男」
キミは口元を隠すように手を挙げて笑う。
「おまけに頭良くて、ホントの感情を見せない……マンガの主人公じゃん」
ボクも自然と笑い出した。
「でも、樹くん、少女マンガそのままだよ。周りにいないもん、樹くんみたいな人」
クスクスが止まらないキミ。「ボクみたいな人」の定義はイマイチわからないけれど、キミとこんな風に話せるんだなぁ。ずっと今の時間が続けばいいのに。月並みなことを思った。
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