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やや下がり気味の大きく黒目がちな目。
薄い唇。
声を立てて笑う時、必ず細い手で口元を隠す仕草。
どれも可愛らしく見え、ボクを魅きつけて止まない。
そう思うのはやはりボクだけじゃなくて、中にはキミが好きだと公言している奴もいたし、毎日のように「付き合ってほしい」という奴もいて、キミはいつも困ったような顔で断っていた。
こんな顔をさせるくらいなら、ボクの想いは密かなものにしておこうと誓った。
そんなキミとボクは毎日、生徒会室で顔を合わせる。
ボクは副会長でキミは生徒会執行委員。
いつもボクが生徒会室に一番に入り、二番目にキミが現れる。
会長を含め、残り四人が集まるまで のんびり雑談がいつもの日課だった。
もっとも、今考えてみれば、その日常はほんの数ヶ月の間。
でも十四年しか生きていないボクには、人生のうちでかなりの割合を占めていたように感じたんだろう。
そんな日常が永遠に続くようにさえ思えていたのかもしれない。
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