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「その子の事そんなに嫌いなの」
梨恵は新しい玩具を見つけたかのように、笑顔を見せた。
「嫌いでは無く、苦手なだけです」
溜め息を吐く彪兎。
「あの子……沙耶は私の従姉妹なんですけど、彼に好意が有るんです」
「へぇー。それはそれは……」
「……」
彪兎は露骨に嫌な顔をすると、再びカバンを持って立ち上がった。
「……ハァ」
カウンセリング室に居たところで結局変わらないなら出掛けた方がマシだろう。
そう考えた彪兎は何も言わずにカウンセリング室を出て行った。
彪兎が出たカウンセリング室から、梨恵の笑い声が聞こえてくる。
おそらく葵も笑っているのだろう。
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