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翌日
彪兎は菊池の家に居た。
本当ならば菊池の家に行く事も億劫であったのだ。
何故なら……
「沙耶ちゃんありがとーね。今日手伝ってもらっちゃって」
「気にしないで下さいっ」
予想通りに、全くの期待も裏切らずに、昨日遭遇した沙耶が模様替えに参加を希望したからだ。
彪兎は溜め息を当然のように吐いてから作業を続けた。
こうなるなら出掛けずに葵や梨恵にからかわれていた方がマシなような気になってくる彪兎。
「ところでアヤトー」
「……彼女は葵の従姉妹なんだ」
菊池が質問する前にその問いに答える彪兎。
「へー。モテモテじゃん」
彪兎は菊池を睨んでから、諦めたように溜め息を吐いた。
ニヤニヤと笑う菊池がこれほど煩わしいと感じたのは、今回が最初で最後だろう。
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