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そんなこんなで葵の自宅を訪れた彪兎であったが、思いのほかもてなされた。
理由は単純明解で、彪兎が葵を助けたからだ。
葵の母親は葵とは対照的に、明るい笑みを浮かべて彪兎をもてなした。
「アナタがあの子を助けてくれたんですってね。それに最近あの子がオシャレしているのも、アナタのおかげね。あの子にアナタみたいなカッコイい彼氏さんが出来たなんてねぇ」
「ええ……」
彪兎は眼で葵に助けを求めたが、葵は薄い笑みを浮かべるだけ。
彪兎の貴重な姿を見て楽しんで居るのだろう。
「私に出来る御礼はするわ」
「いいえ……このお節料理で十分です」
彪兎はスイッチを切り替えて、爽やかな笑顔を向けた。
葵は小さく吹き出した。
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