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気が付くと私は病院のベッドに寝かされていた。
知らない天井、知らない医師、そして隣で涙を流しながら喜ぶ知らない大人男女二人に中学生ぐらいの女子一人…
「よかった、よかった…」
そういいながら私を抱き寄せる女性。
「あや、変な所はない?ってまだ一命を取り留めただけだから変な所だらけだね…でもほんとによかった」
…ちょっとまて、あやって誰だ?私は幽夏なんだけど?
「よかったねあやちゃん、後は後遺症が残らなければいいけど…」
だから私は幽夏だ、あやじゃない…私をあやなんて名で呼ぶな…
【あや、あやちゃん、あやお姉ちゃん】
違う、私は…私は!
「う…うぅ……」
…バッ
「はぁ…はぁ、夢か」
布団から飛び起きるとそこはいつも通りの見慣れた天井があった。
「嫌な夢だった…」
そして私はあることに気付いた、カーテンの隙間から日差しが差し込んでいたのだ。
急いで携帯を開いて時間を確認すると
【8:30】
今日の待ち合わせ時間は8時45分、そして家から待ち合わせ場所の駅までは小走りで10数分…
「……………………やばっ」
歯を磨き、髪を整え、超速で仕度を済ませ猛ダッシュで駅へと向かう。
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8時44分、なんとか駅に到着し3人の姿を捜す、が見当たらない。
「また遅刻…走るんじゃなかった」
ため息をついていると後ろから何かが飛びついてきた。
「幽夏おはよー!」
「なっ…」
疲れきったところに不意打ちで私はバランスを崩してしまった。
「うぉあ!?」
私がバランスを崩したことにより当然後ろの雅も倒れそうになる。
「くそっ」
倒れこみながら飛びついてきた雅の手を払い、全力で体を翻し雅を受け止める体制を取った。
ドンッ…
背中に鈍い痛みが走ったがなんとか雅は庇いきれたようだ。
幸い、頭を極力上げるようにしていたため後頭部を強打することはなかった。
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