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乗車する彼女の表情を気にしながら自転車を積み終わり、クーラーバッグを手に取り、助手席側に周りドアを開け、
「いきなりだけど、良い機会だから軽く自己紹介しない?」
俺の申し出に真顔で目を大きく見開いている。
「ありゃ?幾ら何でも唐突過ぎた?」
「えっ?あぁ~、そう言えば名前教わって無いですよね?」
「ん~?どうかした?」
「んっ…まぁ~気になるって言うか…後で少し質問して良いですか?」
「別に今でも構わないけど…」
と不思議そうに応えると、決意した様に目を閉じて俯き、胸に手を当てて大きく深呼吸して…
「じゃぁ聞きますけど…後ろの人…気になんないですか?」
『!!』
その言葉に俺は唖然とした。
何故なら普通の人には【彼】は見ることは叶わないのだから…
「え~と…取り敢えず聞くけど、どんな人かな~?」
「どんなって、縄文か弥生時代風の男性に見えるんだけど…」
と、顔を引きつりながら呟く。
そんな彼女に俺は嬉々と、
「おめでと~う♪」
と彼女の手に自分の手を被せて喜ぶのだが、当の彼女からすれば何が何だかさっぱりなのだろうが構わず言葉を続ける。
「いやぁ~悪い悪い♪
人生三十年間で彼に気付いたのは、ウチの【関係者】意外では君が始めてだと思うから、ついうれしくって…まっ、何はともあれ、
コイツの【件】を含め簡単に自己紹介するから君の事も教えて。」
彼女は困惑しながらも承諾した。
「先ず名前は【刻凪 琉紗那(トキナダ ルシャナ)】仲の良い友達は下の名前で呼ぶからそっちで呼んでもらって構わないから…
で、後ろのは、【日本武尊】知っての通り…」
「ちょ~と待って」
俺が思った通りいきなり【待った】を掛けられた。
「はい、どうぞ。」
白々しく先を促すと
「【日本武尊】ってあの【日本武尊】ですか?」
「あぁ~!多分その【日本武尊】だけど…何か?」
「何か?…じゃぁ無いですよ!
もし逸れが本当と過程したら、今この時代のこんな街に居ること事態可笑しいですよ!」
とやたら興奮気味に声を上げる彼女に、今度は【日本武尊】…
略して今後【タケル】と言い改める。
実際俺は彼の事をそうに呼んでいる。
その彼から、声を掛ける。
「別に、決して有り得ない事ではなく、
己で言うのも何だが、我々の様に生前に良くも悪くも何らかの偉業を成し得た者達は、
如何なる世界で有ろうと【必要】と喚ばれたなら【主】の【霊力】の大きさにも
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