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よるが【依り代】となる物さえ有れば【主】の【力】の一つとして、その【世界】に具現化できるのだ」
【タケル】の言葉を聞いて彼女は、
「え~と…つまり、アナタは刻凪さん…でしたっけ?
その彼の【使い魔】かなんかって事?」
「まぁ~、そんな様な者だ。」
「有り得ない…」
「ん?何か言った?」
彼女がボソッと呟いた言葉を聞き取れず、
一瞬タケルと目を合わせてから聞き返したのだが、
「そんな漫画や小説じゃぁないんだから有る訳ないですよ~」
手をパタパタさせて否定する彼女の気持ちも判らなくはないが、
事実がそうなのだから仕方ない。
よって俺は一つ意地悪を言ってみた。
「ほう~、ならばそこのコンビニにでも行って
『この人見えますか』
って聞きに行くか?」
「えっ…?いやぁ~、別に其処までは…それに私~足を痛めてるし~…」
と何やら弱気な発言をして誤魔化そうとしてる様だが、
そんなのは予測の範囲故タケルに目で合図して先を促せる。
「では、その足コヤツに直して貰えば良かろう。
さすればコンビニまで確認しに行けるからなぁ」
何とも意地悪過ぎるタケルの追撃にもはや彼女は沈黙しつつ、必死突破口を模索し出す。
「素直にタケルの存在を認めてやるか?」言って助手席のドアを開けると、少し考える素振りを見せながらも助手席に乗って捻った足をだす。
「幾らかは信じて呉れるのかな?」
「コレで本当に治るなら信じざる得ないです。」
「素直でないオナゴだの~」
「大きなお世話です!」
「なら、小さな親切だな。」
「何処がですかぁ!!」
「こうやって怪我を見てやってる所とかが。」
「なっ!………むっ、く~う~」
言い返す言葉もなく悔しがる彼女を鼻で笑って居ながらも俺は治療を終わらせ軽く足を叩いて
「ホイ、どうだ?痛みどころか違和感も無いだろ?」
「あっ、はい…全然痛くない…
本当にこんな事出来る人が居るんですね~?」
治った足を色々と試しながら驚きを隠せない様子だった。
「で…?」
「!?…はい…?」
「『はい?』じゃなくって何か言うこと有るんじゃない?」
「あっ!ありが…」
「御礼は良いから他に!」
御礼を遮られて彼女は深刻な表情で暫く悩んで、
「マ・サ・カ…『言葉よりも態度で寄越せ』何て言わないですよね?」
「そのマサカだとしたら…?」
「最低って言うか、幻滅です!」
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