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重ねた掌を互いに逆方向に横へ倒し、
同じく互いに逆方向へと滑らした。
そして滑らした両の掌には短剣が持たれて居た。
その間、僅かに瞬きする間すらなく瞬時に現れ持たれた短剣でヘルハウンドと交差と同時に十字に斬りつけ、
アスファルトの大地に再度足を着ける事無くヘルハウンドは四散し塵と返すのだった。
「全く理性のないモノは理解に苦しむ…」
そう呟き彼女達の方へ振り向いた時には両手の中に有った二つの短剣は消えて居た。
「さて…タケル有難う、もう平気だよ。」
一言御礼をタケルに言うと優しく微笑むだけで彼は霊体へと戻る。
そして同時に目の前にはトラックやらバイクやらが数台通り過ぎる。
「え!?…今のトラックとか、急に通り過ぎてった様に思えたんですけど~」
目の前にいきなり現れたトラックを目で追いながら彼女はそうに呟き、驚きを隠せない様子だった。
「まっ、タイミングが合えば有り得る事だから、それは此方からすれば大した事じゃないよ。」
「大した事じゃない!?
いきなり目の前に車が現れるんですよ!」
「そりゃね~…だって俺等【世界から隔離】してたから。」
「あっ、そうなんだぁ~……
って、【隔離】!?
隔離ってどう言う事!!」
『ヤレヤレ、見た目以上に騒がしい娘だの~』
タケルの一言で我に帰ったのか、
急に普段の彼女に戻った。
「イヤ…てか、みっともない真似して済みません。」
さてさてどちらが本当の彼女なのか詮索するのは折々ジックリと会社ででもするとしてトリックでも説明するとしよう。
「取り敢えず【普段】の君に戻った所で簡単に説明しようか。」
俺の言葉に彼女は生唾を飲み込み、マジマジと見据える。
「実は【結界】をはってたんだよ。」
「…………」
「…………」
何故かは分からないが2人の間に【沈黙】と言うそよ風が吹いて行った。
「…あの~…」
「ん?」
「その~……続きは?」
「続き?…なんの?」
「なんのって、今の
【結界をはった。】って話しの続きです。」
「ん~…結界はって、奴を倒して戻して終わり。」
真顔で言われて彼女の表情がだんだん険しくなって行き、
「だから、はった理由とか、はったら何がどうなるかとか教えて頂きたいのですが!!」
彼女は表情のみならず言葉にも怒りの色を乗せて追求するが、
俺はどこ吹く風とばかりに、
「良いけど、その前に俺の質問の応えがないからそっちを先に♪」
人差し指一本立てて笑顔でそう言うと、
眉間にシワ寄せながら睨み
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