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しかし力の無い俺はただただ倒れそうな体を抱えられ、ライリーの顔を睨みつけることしか出来ない。なんて無力なんだろうか。
「君をこれから沼に突き落とす。光栄だろう」
そして事実上の死刑宣告を出された。
「この沼はね、大昔に龍が溺れて死んでしまった沼だそうだ。今この世界に現存する四足歩行の竜ではなく、羽を持たずとも中に浮き、神々の使いと呼ばれた伝説の龍がね」
この神話はとても一般的な、いや知らない人の方が少ないほどの神話だ。幼い子供は童話のように読み聞かされ、老人たちは狂ったように信仰している。ただ龍の死は神々の怒りを受けて空から飛来した槍に貫かれたと言われている。
「龍は槍に貫かれて」
「いいや、龍はこの沼に溺れたのだよ」
きっぱりと神話の根底を覆された。まるで当たり前のように。
「僕の家は代々龍についての研究をしていてね」
まだわかることは少ないがと自重気味に呟いた。
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