予感

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ここに眠ってからどれほどの年月が流れたのだろう。 遥か悠久の時を経て、いまだに覚えていることは、誰か大切な人の傍らで共に歩み続けていたこと。 そして、私を助けるために命を投げ出して私をこの空間に逃がしてくれた人の暖かな手。優しげな笑顔。 その日から私は永遠に眠り続けている。目覚めることも感じることもなくただあり続けている。 再び目覚めたときには、彼は笑ってくれているだろうか。彼は私を覚えているだろうか。 理由は無いけど、私はそろそろ目を覚ますだろう。 独りはとても寂しいんですよ。独りはとても辛いんですよ。独りはとても冷たいんですよ。 動かない体はとてももどかしく、閉じた瞳の橋から銀の雫が溢出した。 早く私を救い出してください。早く暖かい手で包み込んでください。お願いです。
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