二大国大戦終結直前

2/3
前へ
/1379ページ
次へ
砂塵が舞う、荒野の真ん中で、ぼろぼろの体を引きずる小柄な影が、二つ。 片方は崩れ掛けの鎧をかろうじて纏い、強風に煽られてボサボサになった長い赤い髪に金色の瞳を持った・・・中性的な顔立ちの少年だ。赤色の血が鎧だけでなく、頬や足、そして右手に持つ剣にも飛び散っていて、元は白の鎧を赤く染めていた。 そして片方は破れかけた黒いローブに身を包み、乱れた蒼い髪と銀色の瞳を持った、顔の整った少年だ。右手には同じ形をした黒い銃を握り、だらりとぶら下げていた。 荒い息を吐きながら、二人の目がかちあった。 金色と銀色の瞳に宿るのは、明らかな殺意。 まだ年端のいかない子供とは思えない、強大な殺気だ。 「・・・『血塗れの殺戮人形』。」 黒装束の少年が、鎧の少年に向かいそう呼んだ。 鎧の少年もまた、黒装束の少年に向かい、本当の名前でない方の名を呼んだ。 「・・・『銀眼の死神』。」 沈黙。 殺気と殺気のぶつかり合い。 カチという音が静寂を破り、黒装束の少年が先に口を開いた。 「これで終わりにしようぜ。『殺戮人形(キリングドール)』」
/1379ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5923人が本棚に入れています
本棚に追加