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砂塵が舞う、荒野の真ん中で、ぼろぼろの体を引きずる小柄な影が、二つ。
片方は崩れ掛けの鎧をかろうじて纏い、強風に煽られてボサボサになった長い赤い髪に金色の瞳を持った・・・中性的な顔立ちの少年だ。赤色の血が鎧だけでなく、頬や足、そして右手に持つ剣にも飛び散っていて、元は白の鎧を赤く染めていた。
そして片方は破れかけた黒いローブに身を包み、乱れた蒼い髪と銀色の瞳を持った、顔の整った少年だ。右手には同じ形をした黒い銃を握り、だらりとぶら下げていた。
荒い息を吐きながら、二人の目がかちあった。
金色と銀色の瞳に宿るのは、明らかな殺意。
まだ年端のいかない子供とは思えない、強大な殺気だ。
「・・・『血塗れの殺戮人形』。」
黒装束の少年が、鎧の少年に向かいそう呼んだ。
鎧の少年もまた、黒装束の少年に向かい、本当の名前でない方の名を呼んだ。
「・・・『銀眼の死神』。」
沈黙。
殺気と殺気のぶつかり合い。
カチという音が静寂を破り、黒装束の少年が先に口を開いた。
「これで終わりにしようぜ。『殺戮人形(キリングドール)』」
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