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丁度、裏庭の方を歩いていたその頃だった。
「うわあああああああっ!!」
奇声と共にガラスの割れる音が上空から鳴り響き、ドスンと鈍い音が聞こえた。
少し離れたところにいたので、怪我をすることはなかったが、ガラスの破片が散らばった地面の上に捨てられていた、分厚い本を見つけた。
題名は『中世・ティーネ国史』。目の前に居る男の所持品だった。
「何を、言っているの?」
母親が震えながら、俺の肩に手を乗せて、視線を合わせながら尋ねてきた。
「誰からか・・・侍女さんの誰かに教えてもらったのよね?じゃないと、三歳で読める訳が・・・」
「文字は教えてもらった。他は独学。」
当然のように答えると、母親は父親の方を向いて、助けを求めるかのように口を開いた。
「あ・・・あなた・・・」
「す、スゴいっ!!スゴいぞっ!!お前は天才だっ!!」
歓喜に震えた父親は、俺の両脇に手を差し込んで抱き上げた。
母親も驚いてはいるもの、嬉しそうな表情だった。
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