迷子の死に神

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「優一?」 名前を呼んで優一を捜す。 黒いカーテン? 私の目の前に黒いカーテンのようなものがある。 黒いカーテンなんてウチにあったっけ? 呑気にそう思っていると、黒いカーテンは移動している。 え? 私はもう少し、視線を上にあげた。 黒いカーテンというより布? ゆっくりと視線をあげて、それがカーテンでも布でもなく… マントだとすぐに気付いた。 黒いマントを纏い、ソレは居たのだ。 鋭い鎌を持ち、黙ってこちらを見ている。 表情なんてわからない。 マントでよくわからないから。 悲鳴とかあげなきゃマズイかな? だって、明らかに変質者。 私、鋭い刃物で殺されちゃうかも。 バラバラにされたり、埋められたり… そんな事より、優一に会えなくなる。 逃げなきゃ…ダメ? でも、私は頭が理解していないらしく、ぼんやりと鎌を持つ変質者を見ているだけ。 でも、コイツなんでこんな…コスプレを、 まるで死に神みたい。 そう考えて、幼い頃みた絵本の死に神を思い出した。 死に神? コイツ、どうやって部屋入ったの? 窓ガラスは閉まってる。 そして、玄関も閉まってる… しかも私の部屋は5階。 本物かな? あ…じゃあ、私死ぬのかな? 迎えに来たんだもん…。 死亡時間って何時になるのかな? 私は側の携帯に手を伸ばし、時間を確認した。 最後に優一に会いたかったなあ。 ぼんやりと考えていたら、ユラリと死に神が動いた。
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