サクラブルー

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「お前、シツコイって!もう切るからな!」 そう言って俺は少し切れながら携帯を切った。 電話の相手は千恵。 付き合って4年目で…、最近は空気みたいな感じにしか思えなくて、新鮮さに欠け、喧嘩が絶えない。 こう言うの倦怠期って言うんだっけ? ま、そんな事どうでもいい…。 まだイライラが消えない。 イライラを消す為に空を見上げた。 綺麗なピンクが視界に飛び込んでくる。 桜…。 まだ満開じゃないけど、それなりに綺麗だ。 でも、ピンクなんて…乙女ちっくじゃんか? 綺麗だけど、可愛い過ぎて俺は嫌い。 視線を元に戻し、ドキッとした。 数メートル離れた桜の木の下に女性がいる。 女の子かな? 微妙な年齢。 そして、また会えた事が少し嬉しくなった。 ここ一週間、彼女を毎日見かけるのだ。 この桜並木道を使い始めたのが一週間前。 バイト先の近道だと聞いて使ったその日に彼女を見かけた。 彼女はいつも白いワンピースを着ているから印象に残った…。 ううん、 本当は凄く可愛いから。 初めて見た時は桜の精かな?って真剣に思ったくらい。 彼女はいつも桜を見上げている。 もちろん今日も…。 いつか、話したいな。なんて思ってるけど…未だに後ろをコソコソ通るだけ。 多分、今日も。 俺はいつものように彼女の後ろを通る。 「彼女と喧嘩?」 へ? 粋なり声がした。 「喧嘩?」 彼女が…女の子が桜じゃなくて俺を見ている。 「ダメだよ、彼女泣かしちゃ」 そう言って彼女は微笑んだ。 まるで…桜が咲き誇るように…綺麗に。 「え、あの、俺?」 俺は周りをキョロキョロした。 俺?マジで俺? 他に…人いないよな? 朝、9時。 平日だし、通勤時間のピークは終わっているから人は俺と彼女だけ。 やっぱり俺? 「毎日会うね」 彼女は俺に微笑んでいる。 マジで? 「う、うん」 俺は慌てて返事を返した。 「そのウンはどっちの返事?彼女と喧嘩?それとも毎日会う?」 「あ、両方…」 俺がそう返事返すとクスクスと笑った。 可愛い… マジ可愛い! 「桜好きなの?」 なんと俺と彼女の質問がかぶった。
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