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男が早く来ていたら…
紗羅がいつまでも待たなかったら?
きっと死なずに済んだ。
一生会えないよ。
言葉が重くのしかかる。
ブルーがラッキーカラーって言ってた彼女はブルーに運命をたくしたのか…
事故った車はブルーだったらしい。
花びらが散る。
彼女はどんな願い事をしただろうか?
あの人が来ますように…?
ピンクの花びらが雨のように降り注ぐ。
「陸…、ごめんね。いっぱい陸を困らせた…陸が終わりにしたいならいいよ」
千恵が俯いてそう言う。
告白したのも千恵なら、さよなら言うのも千恵…。
ダメだよ。
紗羅の言葉。
うん、紗羅ごめん。
「千恵、ごめん」
俺は千恵の手をギュッと握った。
風が吹く中、手を広げたら花びらが一枚飛び込んで来た。
「陸すごい!お願い叶うよ」
千恵が無邪気に笑う。
紗羅みたいに…。
初めて告白してきたあの日みたいに。
願い事。
たったひとつ。
紗羅が幸せでありますように。
そして、俺は千恵と手を繋ぎ歩き出した。
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