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あれからしばらくは彼の姿を見なかった
忙しい日が続いて、彼のことを忘れかけてきたころ…
「こんにちは」
「いらっしゃ…あ」
彼が私の前に現れた
以前と変わらぬ様子で私の前に立っている
「どーぞ」
唖然としている私の前に出される掌
その上には五円玉
「いいですよ、返さなくても!」
私は思わず掌を彼のほうへ押し返した
「男に恥かかせる気?」
「五円くらいじゃ恥なんてかきません」
しばらくレジの前で、こんなやりとりが続いた
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