第一章

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「本当か…!?」 おっさんは期待の眼差しで俺を見上げる。 「お…おう…できることならだぜ…?」 あくまで「光秀は討てない」と主張する俺。 するとおっさんは何かの紋章のようなものが刻まれている笛を、俺に差し出した。 「いざというときに使うがよい。きっと役に立つだろう。」 俺は黙って笛を受けとる。 「では、用も済んだのでわしは帰るとするわ。 おぬしは今来ると危険じゃ。猿に言いつけておくから、その時が来たら部下共におぬしを迎えに上がらせるぞ。」 「あ…ああ、分かった。」 俺は何とも言えない表情で答える。 「では頼んだぞ。」 そう言うとおっさんは映像に手を入れて、スイッチみたいなのを押した。 するとたちまちおっさんは白い光に包まれた。俺は眩しくなり、目を瞑る。 やっと光がおさまって俺が目を開けたら、目の前にはおっさんはいなかった。 帰ったんだな…。そう思うのが半分、ひょっとしておっさんなんてはなからいなくて、頭痛のせいで幻覚だったのか…?という気持ちが半分。 しかし、俺の手にはしっかりと笛が握られていた。 それが何よりの証拠…そして、ことの重大さを語っていた。 俺は布団に倒れこむ。今ごろ、おっさんは光秀に攻められて絶体絶命なのか、それともすでに…。 そんなことを考えていると、いつの間にか頭痛は嘘のようにおさまっていた。
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