11人が本棚に入れています
本棚に追加
「本当か…!?」
おっさんは期待の眼差しで俺を見上げる。
「お…おう…できることならだぜ…?」
あくまで「光秀は討てない」と主張する俺。
するとおっさんは何かの紋章のようなものが刻まれている笛を、俺に差し出した。
「いざというときに使うがよい。きっと役に立つだろう。」
俺は黙って笛を受けとる。
「では、用も済んだのでわしは帰るとするわ。
おぬしは今来ると危険じゃ。猿に言いつけておくから、その時が来たら部下共におぬしを迎えに上がらせるぞ。」
「あ…ああ、分かった。」
俺は何とも言えない表情で答える。
「では頼んだぞ。」
そう言うとおっさんは映像に手を入れて、スイッチみたいなのを押した。
するとたちまちおっさんは白い光に包まれた。俺は眩しくなり、目を瞑る。
やっと光がおさまって俺が目を開けたら、目の前にはおっさんはいなかった。
帰ったんだな…。そう思うのが半分、ひょっとしておっさんなんてはなからいなくて、頭痛のせいで幻覚だったのか…?という気持ちが半分。
しかし、俺の手にはしっかりと笛が握られていた。
それが何よりの証拠…そして、ことの重大さを語っていた。
俺は布団に倒れこむ。今ごろ、おっさんは光秀に攻められて絶体絶命なのか、それともすでに…。
そんなことを考えていると、いつの間にか頭痛は嘘のようにおさまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!