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じいちゃんの気配が無くなったと同時に、目の前にいるおっさんが怒った顔でこっちを向く。
「もう少しでばれるところだったではないか!!」
「あんた一体誰なんだ?」
俺はスルーを決め込んで、おっさんに問いかける。
おっさんも、これ以上怒っても意味無いと思ったのだろう。声のボリュームを下げて、確かにおっさんはこう言った。
「聞いて驚くな?わしはおぬしの先祖、織田信長と申す。」
……なんだこのおっさん。
酒でも入ってんのか?俺が変な目をしているのに気付き、おっさんが慌てて付け足す。
「ああ、もちろん徒歩で来たのではないぞ。この『トラベルリセット』を使ってだな…。」
そう言っておっさんは、懐から何やら白い物体を取り出した。
そのおっさんに俺は冷淡にこう言い放つ。
「おっさん、戦国時代にそんな機械的ものあるわけねえだろ。ちったあ歴史の勉強してから変装するんだな。」
「………おぬし…もしやわしの事を信じておらんな?」
数秒の沈黙の後、おっさんがゆっくりと口を開く。
「信じろって言う方が難しいぜ?」
俺がそう言うと、おっさんは鞘に納めてあった刀を勢いよく抜いた。
その刀身にはどこかで見覚えのある漢字が……。
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