餌前の犬

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「あぁ、もう幸せです。花さん」 「わ、私も……蝶の事大好き、ずっーとこうしてる!」 二人で抱き合いながらお互いの幸せさを語るという恥ずかしい事を良くやってんな俺。とか内心思いながらも、もう明日の予定とかもうどうでもいいや。と思えしまう程に今が愛おしく幸せだった 「でも、花はほんとに凄いよ。今回のを第一歩にさ、これからも頑張ろう!もっと凄い女優の道を目指そうよ!ずっと応援するからさ」 「うん…ありがとぅ」 一瞬少しだけ泣き目に見えた 花は俺の胸にぐっと顔をくっつけて顔を隠した 「んぅ、なでなでして~」 「甘えんぼだな~」 「早く~!」 もう超ド級に甘えてくる子犬の様な花にもう、くわっ!という衝動に襲われながらも俺は頭をなでなでした つやつやした綺麗な黒髪を撫でると、ふわっと優しくて良い匂いが辺りに飛んだ 「えへへ、なんか気持ち良いい……」 「な、なんだよ、そりゃ」 花は自分の頭より少し大きい俺の手を頭に乗せながら、上目遣いで不思議な物を見つめる赤ちゃんの様な顔でじっーと俺を見つめていた 「何さ?」 「……んーん」 俺が問い掛けても、そう答えるだけで、ただじっーと見ているだけだった なんか改めて人に自分の顔を真近で見つめられるのは恥ずかしいと感じた。つか何この赤ちゃん顏!かわいいけども!私的にはあれ、最高に好きだけど! 「ちょ、マジ何?めちゃ恥ずかしいから!なにその顔」 「んー?会える時にいっぱい顔見とこうと思って……嫌?」 その花の言葉を聞くと、気持ちが少しだけ寂しくなった。そうだよな、今日だって二週間ぶりだもん な 会える日数は少しずつ減ってるんだな…… 「嫌じゃ……ねーけど」 「ふふ、良い子!」 今度は花が俺の頭まで手を伸ばし髪を撫でてきた 優しい手……子どもの時に同じ様に撫でられた時の思い出がこの一瞬でふと思い出す どれも、これも良い思い出しかない。凄い魔法だな、この手は 花も、同じかな。俺が撫でてあげた時の事思い出すんだろうか ……いや、実際撫でたかどうかなんて覚えてないけど 撫でた事くらいあるハズ……たぶん
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