餌前の犬

19/23
前へ
/135ページ
次へ
お互いの頭の上に手を乗せて撫で合うという凄いシュールな状態だった 「……」 「……」 甘いけど、何かすげぇ変だった。もし誰かいたら顔をしかめるのが安易に、想像できる 「な、撫で合いだねっ」 「そう~だな……」 このよく分からない状態の沈黙を破るのは花だった 撫で合いて、なんじゃそりゃ 「ん~……な、なんか少し恥ずかしくなってきた!」 「はは、今更!」 この現状のおかしさに二人して笑い合った 「私、撫でられるの好き……」 「俺は撫でるのが好きかな」 花はまた、じっーと見つめてきた後、人差し指を俺の眉間に立てて、ツンと押してきた そして、花は体を俺から離して最高の笑顔で笑った 「ふふ、楽しいね!」 「……そうだね」 もう考える事がバカみたいに思える。花の良い笑顔を見ると……もうこの笑顔見れるんなら、何でも良い気がした 花は、大人っぽくも、幼くも思える部分がある。俺は小さな時から色んな面を見てきたけど、どっちも昔と変わらなくて好きだ 「蝶といるのって楽しいなっ」 「な、なんだよ、急に」 改めて笑顔100%でそんな事を言われると照れる どうやら、今日ひさしぶりに会えたのがよっぽど嬉しかったみたいだ。俺もだけど 「んふふ~……」 今度は何かを狙っている猫の様な眼でぐばっとと、俺に抱きついてきた 「ぎゅー!」 「わっ!こら」 「きゃあ!」 そのまま体制を崩し、花が俺を押し倒す形になり、体の上に乗ってきた 「……へへ、乗っかっちゃった」 「ぉ、おお」 ……でも、暖かい気持ち、優しい気持ちでいっぱいになると、それと同じくらい、俺の中の淫らな狼の気持ちが膨れ上がっていく 花、意図的にやってるのか?ただ俺に抱きついていたいだけでそういう事をするのか 嬉しいし、楽しいんだけど、子供の様に無邪気な彼女が俺を余計に淫らな気持ちにさせる 俺の今のこの気持ちに少しでも気付いてんのかな? あぁ……さっきからもうヤバイ!ズボン引きちぎりそうだ! し、下ネタかっ!つか、花めっちゃ乗っかってから、流石に気付くだろ 大好きな人、触れ合う体、甘い香り、無邪気でまるで子供の様な彼女…… こんな刺激が強いシチュエーションに、若い男がここに一人…… やべぇ、襲いそうだ
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14055人が本棚に入れています
本棚に追加