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「……蝶?」
バスルーム特有のぼやけた様な透明の扉を挟んで私は蝶の事を呼んだ
「……なにー?」
石けんを泡立てる音が聞こえる。
私の声が小さくて少し聞こえづらかったのか、ちょっと大きめの響いた声が返事として帰ってくる
大丈夫だよね。変な事じゃないよね。……うん
「私も入る」
「え?なんだって、はいる?」
「私も一緒にお風呂入る」
「えっ、なんで?」
ちょっと笑った様な声で言ってきた。急でびっくりしたかな
なんか凄く直接的に言っちゃったけど、詳しくいうと、お背中お流ししますよって事。でも、なんかニュアンスが違う様な事を言っちゃった。……まぁ、結局同じかな、意味なんて……結局お風呂場に入るんだし
「ダメなの?」
「ぃや、ダメとかじゃないけどさ、急にどうしたの?」
そんな様な言葉が帰ってくると思っていた
「……い、いいじゃん。せ、背中くらい、流させてよ……」
「……ああ、背中?んー、……じゃあやってもらっちゃおうかな」
……また笑った。にこにこしている蝶の顔が頭に浮かぶ。私がどういう気持ちで貴方の背中を流すのか、蝶はきっと思ってもいないと思う
「入るね」
「え?早っ!ちょ……痛っ」
入るねという言葉と同時に扉が開いて扉の角が蝶の体にぶつかる
「ぁ……ご、ごめんね」
「いや、いーけど……つか、ちょっといきなり急だな!俺の裸見られちゃうじゃん」
蝶は照れながらタオルを取って膝の上に乗せた
「……」
「……狭いね」
バスルームの洗い場に二人いるだけで、もう窮屈だった。周りにはスポンジの床ひきとプラスチックの椅子、ジャンプーのボトル等が並んでいた
蝶は椅子を使わないで直接床に座って石けんをスポンジで泡立てていた
「……そんで、どうすんの?」
「あ、洗う……」
さっきまであんなにやる気だったのに。……なんか恥ずかしい
「あ。じゃ……これで」
「うん……椅子に座って」
蝶から泡立ていたスポンジをもらい、蝶に椅子を渡し、私は服の袖をまくった
「……」
目の前に裸の蝶が背を向けている。あんまり素肌で良く見た事が無かったけど、思ってたより背中は大きくて、ガッチリしていた
なんだか、胸がドキドキしていた
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