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湿った空気がちょっと熱かった。きっと、バスルーム内で洋服を着ているせいだと思う
「いくよ?」
「いくよ?ってなに、なにする気だよ、怖えーんだけど」
笑いながら蝶は私に背中を向けている。私はその後ろで服の袖をまくって、泡だったスポンジを握っていた
そのまま蝶の背中に手を伸ばし、撫でる様に全体に手を滑らす
「ふふ、くすぐった!なんかすげぇ変な感じだなこれ、やばい」
「あっー、もぅ……動かないでよ」
途中で上半身だけ振り返って、笑いあって、笑みを含んだ細い目と合った
「だってさ、身体洗ってもらうのなんて事無かったからさ、なんかこう……新鮮な感じっていうか、懐かしいっていうか……そういや子供の時は良くやってたね」
「……そうだね」
蝶……覚えてるんだ。てっきり無かった事にされてんのかと思ってたけど。ちょっと嬉しくなる
「あはっ、ちょっとストップ」
「ふふっ、子供みたい」
脇にそっと手を伸ばすと、蝶は突然身体を動かす。ピンと反り返った様な形になる。小さい時よくやった、あの時は……こちょこちょって言ってたなぁ
「こちょこちょ」
「懐かしっ!」
私が笑いながらそう言うと、凄く生き生きした表情で、視線を向けてきた
「やったげる」
「いいよ、やめろ!」
少し恥ずかしそうに反発してくる。でも、なんだか喜んでいた。なんかこの雰囲気が無償に懐かしくて
そんな事が出来ている今が、凄く幸せで
……ちょっと瞳が涙で潤んだ
「ふふふ、蝶くんはこちょこちょ弱いんだもんね~?」
「花もだったろ!」
今二人でやったら、ちょっとエッチな感じになる気がする……まぁ、予想なんだけど
でも、小さい時はそんな事なかったんだよね
「じゃ、流すよ」
「おお」
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