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なな、彼女と二年四組・彼と二年一組
「お、おはよー……」
「おっはよー流依! 昨日のあれ見た?!」
『流依』が教室に入るなり跳びかかってくるメッシュに驚き、何も言えなくなる莉央。
「あ、み……見た見た。」
「何赤くなっちゃってんの? もしかして俺に惚れたぁ~?!」
「な、そんなわけないでしょっ!」
「え……マジで今日の流依かわいいんだけど。女の子みたい。」
「そんなこと……ね、ねぇって。」
「そうかぁ? 調子悪かったら言えよな。」
「あ、ありがとう……!」
「今日の流依マジで怖い」
こんなの、小学校以来だ。誰かが自分を心配してくれたり、冗談を言える仲だったり。すごく……うれしい。
「えー、三角形の頂点を通る三直線一点で交わるときに成り立つ定理ー、前園、言ってみろー」
「……」
「おい……前園、お前だよ。お前は板書しながら寝れんのか」
「えっ……あ、はい!チェバの定理です」
「お、正解。前園のくせにやるな」
「はぁ……」
みんながこっちを見て笑っている。かわいそうとか、馬鹿にしているような笑いじゃなく、楽しんでいる笑い。
この世界に、ずっとずっといたい。
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