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「おっはよー」
『牧野』が扉を開けると、教室はシン、と黙り込んだ。
「おはよぉー牧野。何、なんかいいことあったの?」
流依の肩に腕をかけて話しかけるパーマ。
「え、……いや、なんでもないよ!」
自分が『牧野莉央』だと思い出した天パは、できるだけ明るく絡みを避けた。
「は?牧野のくせにタメ口? うっざ、何なの」
肩を殴るパーマ。崩れ落ちる流依。
「いったぁ……ごめんね、私これからタメ口でいこうと思うの」
なんとか辻褄を合わせようとする流依。
「マジありえないんだけど、キモ。」
……嬉しい。ドMだとかそういう意味ではなく、周りがはっきりと思いを告げてくれることがとても嬉しい。誰も自分に対する気持ちを我慢せず、自分の目の前で言ってくれる。こんな単純な人間関係があるのか。
「あはっ。」
つい笑いがこぼれる流依。それを見て気味悪がるパーマ。
「いやいやいや、ほんとにキモいって。マジでやだ。怖い。」
「ごめんなさい。これから私、変わっていこうと思うの。でもね、みんなは私に思うこと、全部言ってくれていい。全部言って。ウザイのも、キモイのも、全部。ね?」
ここ、楽。
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