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はち、ほんね
じゃり、じゃり、じゃり。自分に近づく者に、流依は問いかけた。
「この庭で?」
「会いましょう。」
近づく莉央はすぐに返した。すると流依は、西校舎二階左から二番目の教室に人がいないことを確認して、ウィッグを外した。
「どうだった?」
流依の問いかけに、莉央は花壇の世話をしながら答えた。
「なんていいクラスなの? みんな普段と違う『前園流依』を心配してくれた。」
「なにがいいクラスだよ。そういうところが怖いんだ。誰も本音は言わない、陰で悪口を言われてる。それがどれだけ辛いか。」
「目の前で言われるよりいいじゃない。そっちは、どうだった?」
「とても楽だった。みんな気持ちを伝えてくれるんだ。ウザい、キモいって。誰も陰でなんか言わない。『牧野莉央』の目を見ていうんだ。特にあの、パーマの人。」
「美谷ルカ。彼女、とってもお金持ちなの」
「そうなんだ。とりあえず、充実してたよ。」
「……感覚麻痺ね。人気者によくあるタイプ」
「感覚麻痺はどっちだよ。あれをいじめと捉えるのはおかしい」
「お互い、考え方が違うみたい。今日、なにか私の印象が変わるようなことはした?」
「これからは明るくタメ口でいくよ、って宣言した」
「……え?」
「だからがんばって。イメチェンだよ」
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