First Prologue

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 空を仰ぐ。 不安。  あるなら、過去のことからか。  俺は、この春から、高校生になる。 そこはよくある展開だよな。あの、どこにでもいる、何の変哲もない高校1年生っていうアレ。  しかし、不安。 そんなものがあるとしたら、中学校の頃まで、普通だと思っていたもの。  俺は、中学まで、友達が少なかった。 ていうか、クラスの人数、いや学年、もっと言うと、小学校、中学校通して、生徒の数自体が少なかったのだ。 ちなみに中学校のクラスメイトは15人。 高校は進学したい学校を選ぶわけだから、どうしても少数分裂は起こった。 おかげで、地元のこの奥関高校に進学した元クラスメイトも、俺を含めたったの5人。 そいつらのことは皆知ってはいるが、たかがそれだけで。  3桁の数字を、中学1年、英語の1学期末テスト以来学校で見ていない俺は、人間関係も何もかもリセットされた状態でこの春を迎えなければいけなかった。 それだけ、いや、そればかりか。  …いや、果たしてそうだろうか?  ――やはり今の時点では、さっぱりわからない。  ぐるぐると渦巻いた感情を引きずりながら、仕方なく俺は人ごみの方へと歩みを進める。
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