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『グラロりォォぉぉー!』
鬼の雄叫び。
「ははは……」
逃げよう!!
ダッシュだ!
俺は鬼に背を向けて、
おびえている彼女の手を
つかみ、
「そうだね!、ここは息が止まるまでおもいっきり逃げよう。」
一緒に逃げることにした。
しかし
初めて女の子と
手を握ったなぁ~…
しかも
こんな場面で…
一瞬そんなことを思って、後ろを気にしながら
思いきり走った。
「おっ?」
鬼がいない。
なんだ、足は遅いのか…
俺達は、逃げきったのか?
ははは、
たいしたことないな、
鬼は俺の見間違えか?
ボルト並みに
走ったからな~
俺は、走るペースを落として止まった。
「何を止まってるの!?早く逃げないと!」
現実はそんなに
甘くなかった……
『ゴォォォォ』
っと音がしたので
上を見たら…
鬼が飛んできた。
まさかジャンプで…
いやいやいやいやいやいや
ちょいまてー!!
『グラアァァ~~』
「うおぉーー!!」
なんて跳脚力だ。
やばい、着地する!!
潰される前に…
俺は彼女を前に突き放して俺自身も前に飛び出した。
『バスンっ!!』
見事な着地、
コンクリートの地面が
軽い地割のようにえぐられた。
ギリギリ
潰されずにすんだ。
しかし
これでふりだしだ。
甘く見ていた…
いや、甘く見てはいなかった。しかしこれほどとは
思っていなかった。
「もう、駄目。」
「私達は助からないよ。いや、貴方だけなら助かる。鬼の狙いは私よ!!だから私を置いて逃げて!!」
彼女は泣きながら言った。
俺は鬼に背を向けて
彼女の方を向いた。
「いや。それはできないな。だいたい、あなたが俺に助けを求めたんだろ??しかもこんな状態で女の子一人置いていけない。」
彼女は…
「なんでそんなにも…」
こいつは頭が
おかしいのかと俺を見た
「俺だって、今恐くて、怖くて、逃げ出したいさ。でもな、俺はあなたを助けなきゃいけない気がするんだ。俺が学校から帰る時にゲームセンターに寄ったのも、帰り道にこの怪しげな道を通ったのも、そしてあなたに会ったのも、何かあるからだと思うんだ。だから俺は自分を信じてあなたを助ける。」
そして
また『鬼。』の方へ
向き直した。
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