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赤ペンは弾力の強い大きな目の中心に突き刺さった。
『ばぐらぁぁぁぁアアア』
鬼は叫び、叫び後ろに下がっていった。
トマトをフォークで刺した時にでる果汁のように血が流れでている。
俺の顔にもたくさんの返り血がついた。まぁ…自分の頭からでている血とまざって顔が真っ赤に染まっている。鬼のようだ。
そろそろ
意識が無くなるな…
わかる。今なら。
眠たくなるのとはまた違う感覚。意識が無くなっていく感覚。
この目を閉じたら
俺は、もう二度と目を開くことはないだろう。
死ぬんだな……。
鬼がまだ痛がって
地面を無造作に叩いている。
誰かがに声をかけている…女の子…??そうか…
まだ、逃げてなかったのか…。はやく逃げるんだ。俺が死ぬ意味がなくなるだろ………。
「死んじゃ駄目!」
女の子は泣きながら俺に叫んでいる。
俺を抱きしめて
泣いてくれている。
女の子に抱きしめられながら死ぬのもわるくないかもなぁ~…
瞬間――
彼女は覚悟を決めたか
よくわからないが
ここからの記憶は曖昧だ。
キスをした。
俺に。死にかけの。
血だるまの。
俺、黒光翔に。
柔く、とてもやさしい。感じ、俺のファーストキスは最初で最後のキスになったのだ。
――周りが真っ白に、
強い光につつまれ
鬼の叫び声、鬼が地面を叩く音がなくなり、傷だらけの体の傷みもなくなった。
意識がなくなったのだろうか??ここからは記憶がもうない。
俺は今ここで死んだのだ。
ただ
天国にいるかのよう
幸せな気分で暖かかった。
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