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…
「―きて」
「――おきて」
柔らかくて暖かい物が
口に……
俺は生きているのか…?
ずってこのままでいたい…
ずっとこのまま…
「起きて!、起きて!」
――…ん?
『起きろや、糞兄貴ー!』
目を覚ました。
目を開いた。
そこには
人間の足。
顔を踏んづけられていた。
そして、
その足で顔面を蹴られ
ベットから落とされた。
「のわぁ~~!!」
「さっきから呼んでるのに全然起きないから。」
「もう8時10分だよ。私は、先に行っとくからね。」
あっー……
カーテンからはみ出した
まぶしい光が顔にあたる。
ん??
俺は、あの通りで鬼にあって、一人の女の子を助けて名誉な死にかたをしたんじゃー…
なんで部屋にいるんだ??
夢だったのか?
起こされた?
妹に……。
朝。8時11分に時計の針は指していた。
『なんて乱暴な
起こしかただよ!!』
夢だったのかぁー…
体に怪我もないし、
傷みもない。
昨日の帰り道の事をまったく覚えてない…
「翔にぃ、先に行っとくよ。遅刻しちゃう!あ、あと朝ごはんは、台所にあるから、」
「いってきまーす!」
風のようにスラスラーっと家から出ていった。
「おう、」
俺は、床に倒れたまま
手を振った。
黒光 閃花〈クロヒカリセンカ〉
市立『鳥鳴中学校』
今年で二年生の14歳。
順風満帆でなんでもこなしてみせる我が妹。
とても人望が良く
学年の中でもかなりの人気ものらしくて
「鳥鳴の花」
と、呼ばれているようやらいないようやら。
あまり目立たない
俺とは大違いだ。
家ではかなり
ジタバタしている。
時計の針は15分を指していた。
「やばいっ」
俺はすぐに起き上がり、
顔を洗い、歯を磨き
服を着替えて、
朝食の
『サンマ、豚汁、たまご焼き、ごはん』を
食べずに、さっさと駆け足で家を出ていった。
閃花のやつ
こんな日に限って
サンマという
食べにくい魚を……
しかも、微妙にいつもよりなんか豪華だし…
ちょっとぐらい
食えばよかった……
昼までもたねぇーよ…
走りながら
自転車置き場へと
走っていった。
この時には
俺の頭の中に
昨日の夜のことは
『ただの夢』だったと
という認識で決まり
無くなっていて、
ただ
学校に急で行くこと
しかなかった。
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