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え?行き成り何ですか!?と、戸惑う彼女だが、あることを思いだす。
奴隷は、奴隷として売り出された時点で、名前を捨てられる。
だから奴隷は、飼い主に名前をつけてもらう。
なんて、教えられていた。
(メルルですか・・・・・・悪くないですね♪)
少女・・・・・・いや、メルルがそんな事を思っていると、なかなか返事がかえって来ないのにしびれを切らしたのか、青年は眉を八の字にさせ、口を尖らしながら言う
「気に・・・・・・入らないのか?」
ムスッとしている青年に、やっと彼が返事を待っているのに気が付いたのか、一度だけ微笑み、
「はい、これからはメルルでよろしくお願いします♪ご主人様♪」
いつの間にか恐れが消えた所為か、メルルはニッコリと、ハッキリと笑った。
こんな笑みを向けられたら、健全なる男子なら誰でも顔を赤くするだろう。
青年も例外ではない。
顔をトマトのように真っ赤に染め上げながら、オドオドと先程とは違う、好きな女の子と喋る男子中学生の様な感じで自己紹介を始めた。
「お、オレはステイル=クライスター・・・・・・一応17・・・・・・」
ステイルは少し薄れ始めた真っ赤な顔を、ポリポリと掻きながら言う。
そしてメルルは決める。
こんな主人に買ってもらったのは、どれだけ幸運な事か・・・・・・だからこそ、彼を、ステイルを守る事に決めた。
いつ何時も。
「あれ?そういえば、ご主人様って、お一人でお住みなのですか?このお屋敷に」
「あー、いやー」
「?」
ステイルはめんどくさそうに頭を掻くと、
ちらりとドアの方に向く。
つられて、メルルも見てみる。
「離しなさい!!アリス!!今すぐ宣言しなきゃならないのよ!!ご主人様は私のだと!!」
「ま、待ちなよ!今行ったら主君に迷惑かけないかな!?ボクは反対だよ!!」
「悪魔の私に逆らうとは・・・・・・良い度胸ね」
「悪魔と言っても下級の獣系じゃないか!!」
何やら黒髪のメイド服の女性と、犬耳で、青髪の女性が言い合っている。
メイド服の女性を、青髪の女性が必死に後ろから抱き着いて止めている様に見える。
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