いつもトナリで

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
体が浮いた。 「わゎっ。秀一さん!」 「なんだよ。杏子がねるからだろ」 仕方ないじゃないっ。 秀一さんがとなりにいると安心して眠くなってしまうんだから!! って言いたいけど、そんなこと恥ずかしくて言えなくて。 黙っているうちに秀一さんは、私を膝の上に乗せてしまった。 「おろしておろしてください! 重いからおーもーいーかーらーっ」 「軽いって言ってるだろ。あと、敬語」 「……あ」 大分敬語もとれたと思ったんだけど。 やっぱり時々言ってしまう。 「呼び捨てって約束だろ?」 「うーあーぅ」 恥ずかしくてうつむいてしまうと、秀一さんは覗き込んでくる。 パニックになる私をみて楽しんでるんだ。 「し、しゅういち…」 「なに? 杏子」 「う、ぁ、ぅ…」 楽しんでる。楽しんでる。 ちょっと悔しいから。 びっくりさせてやるもんね。 「……すき」 「っ!?」 びっくりしてる秀一。 でも同じくらいダメージを受けてる私。 はずいっ。 「可愛いこと言ってくれるな」 「……んっ」 ずるいよ。 キスで返り討ちなんて。 勝てるわけないじゃん。 慣れない深いキス。 離れた後はいつも体が熱い。 「愛してるよ、杏子」 止めをさされて、KO負け。 絶対いつか勝ってやるんだから。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!