いつもトナリで

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体が浮いた。 「わゎっ。秀一さん!」 「なんだよ。杏子がねるからだろ」 仕方ないじゃないっ。 秀一さんがとなりにいると安心して眠くなってしまうんだから!! って言いたいけど、そんなこと恥ずかしくて言えなくて。 黙っているうちに秀一さんは、私を膝の上に乗せてしまった。 「おろしておろしてください! 重いからおーもーいーかーらーっ」 「軽いって言ってるだろ。あと、敬語」 「……あ」 大分敬語もとれたと思ったんだけど。 やっぱり時々言ってしまう。 「呼び捨てって約束だろ?」 「うーあーぅ」 恥ずかしくてうつむいてしまうと、秀一さんは覗き込んでくる。 パニックになる私をみて楽しんでるんだ。 「し、しゅういち…」 「なに? 杏子」 「う、ぁ、ぅ…」 楽しんでる。楽しんでる。 ちょっと悔しいから。 びっくりさせてやるもんね。 「……すき」 「っ!?」 びっくりしてる秀一。 でも同じくらいダメージを受けてる私。 はずいっ。 「可愛いこと言ってくれるな」 「……んっ」 ずるいよ。 キスで返り討ちなんて。 勝てるわけないじゃん。 慣れない深いキス。 離れた後はいつも体が熱い。 「愛してるよ、杏子」 止めをさされて、KO負け。 絶対いつか勝ってやるんだから。
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