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「そこの先輩!」
前を歩くミルクティブラウンの髪の男。
「おい!」
もう一度声をかけるとそいつはさらさらの髪を揺らしながらゆっくりと振り返った。
いきなりキスをした俺。動じない相手。
「絶対この学校に入学するから!覚悟しとけ!」
俺はそれだけ言う。
「伊織ー!何先輩に絡んでるんだよー!」
後ろから俺を呼ぶ声がして、俺はそのままその場を離れた。
あれから数ヶ月が経った。
「伊織!起きろ!」
「伊織遅刻だよー?」
「ん…あ?」
寝ぼけた目を擦りながら起き上がると俺以外の4人の男が真新しい制服を纏って俺を見ていた。
「……っぁぁああああああ!!もっと早く起こせよ!」
バタバタと用意を始める俺は芹沢伊織『セリザワイオリ』。
「起こしたよ?伊織ちゃん」
「伊織が悪いんだよー?」
ニコッと可愛らしく笑うのは栢森征光『カヤモリユキミツ』と鞍馬流『クラマナガレ』。
征光は俺を伊織ちゃんと呼び話し相手の名前を連呼する癖がある。癖なのか?
そして流はやたら語尾を伸ばす。
「起きるまで起こせ!」
「高校生にもなって自分で起きれないお前の責任だろ」
むすっとして言うのは東之宮紀咲『トウノミヤキサキ』。
「うっせぇよ!」
「朝食はテーブルの上ね」
爽やかに笑っているのは壺坂愁大『ツボサカシュウタ』。
「食ってたら遅刻すんだろ!」
とまあ…酷い有り様だ。
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