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「あっれぇ?どこかで見たぞー?」
うーん、と考え出す流。
「あれだよね、伊織ちゃん。伊織ちゃんが入学試験の時に絡んでた先輩だよね、伊織ちゃん」
「あぁ…まぁ」
そうだ。そいつは入学試験の時に俺が一方的にキスをした相手。
その先輩は女子に囲まれながら俺達の横を通りすぎた。俺をチラッと見て。
「あの人、女子を総シカトしてるね」
「そうだね、愁大さま」
ちなみに征光は愁大を愁大さま、紀咲を紀咲くんと呼ぶ。
そして流のことは…
「おい、流。てめぇ鞄持て」
「えー!?なんだよーいきなりー!」
「いいから持てよ。なんか女性をシカトするあの先輩にムカついた」
とまぁ…声色まで落としてめちゃくちゃ反抗的に話すのだ。
てか先輩にムカつくなんて言うなよ。
「征光、やめときな」
「分かった!愁大さまが言うなら止めるー!」
「…うっざー」
「あぁ?」
「ねぇ急ごう?入学式がもうすぐ始まるよ?」
「……っぁぁぁあああああああ!!」
勿論みんなで叫んだ。
入学式がもうすぐ始まるって優雅に愁大は言ったけれど、もうすぐとはあと2分だった。
もう少し早く言えよ!
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