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「まさかだよな、5人共同じクラスなんて」
入学式が終わり教室の机に座りながら5人で話す。
「知らないの?伊織ちゃん。入学書類にバンド組んでるって書いたでしょ?伊織ちゃん」
確かに。入学書類にはバンドを組んでるか否かを書く欄があり、メンバー全員の名前を書いた。
「バンドを組んでる生徒は全員同じクラスになれるんだよ?伊織ちゃん」
「そうなのか?なんか甘いな」
「そうでもないよ?」
「あぁ?なんでだよ、愁大」
「だって髪色黒じゃなきゃいけないじゃん」
「まだ根に持ってんのか?」
愁大は入試の面接の時に茶髪で受けた。勿論染めて。
その時に黒髪にしないと入学は認めないと言われたらしい。普通その場で落とされるけどな。
「なら朝の先輩は芸能科なんだね、伊織ちゃん」
「だよな」
ただし黒髪は普通科のみで芸能科の生徒は髪色が自由である。羨ましい限りだ。
「伊織。知り合いだか知らないがあまり先輩と関わるな」
「なんで?」
真面目な顔で言った紀咲を見る。
「芸能科の生徒と関わるのは面倒だ」
いやいや俺達芸能科希望ですけどー。
「ねー伊織ー。どうでもいいけどさー、なんで芸能科の先輩がここにいるのかなー?」
「は?」
窓の外を見つめる流の視線をたどると朝の先輩がいた。
一応、普通科校舎と芸能科校舎があり、それぞれの生徒は校舎の行き来を極力避けなくてはいけない。
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