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それから少しの間含み笑いの先輩と呆然とする俺。
芸能科に入ってみせるから、なんて格好つけて言ったのはいいものの当の本人は普通科…。
いやだってさ、髪色黒が規則だよ?先輩の髪は綺麗なミルクティブラウンだ。
またまたしばらく経ち、俺と先輩はベンチに並んで座る。
「黒髪じゃないから芸能科かと思った」
「染めた」
「先生何も言わないの?」
「俺、クォーターだから。地毛って言ったら大丈夫だった」
「それで大丈夫なんだ…」
「かなり言い争ったけど。母親の髪色と似てるから」
「そうなんだ」
愁大はもろ日本人だから無理な話か。
「染髪と書いて地毛と読む」
「………」
なんか先輩のキャラ分かんない…。
「そうだ。お前入学式早々HRサボっていいのか?」
「いいよ、別に」
「ふーん」
「それと、俺のことは伊織でいい」
「じゃあ俺も遥希でいい」
遥希はなんだか掴めない人だ。反応は全体的に薄いし、物事に感心がないようにも感じる。
「遥希のこと、絶対俺のものにするから」
「あ?あー、勝手にすれば?」
立ち上がった遥希はそのまま校舎の方へと向かった。
同性にキスされ、告白されたにも関わらず何も言わない。
気持ち悪いと言われなかったことに関しては良かったが、それもそれでなんだかなぁと言う感じだ。
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