Sec. I  -知沙の場合-

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寝る前に目覚まし時計をかけた覚えはないことに気付く。 やっとテーブルの側まで這って行くと 携帯を手に取って相手を見てみる。 鳴らしているのは彼氏の正孝だ。 思わず出ることに躊躇ってしまっている自分がいる。 「もしもし」 「おはよう。知沙は今日は仕事休みだろ? これから行くから20分」 「え?あ・・・ちょっと待って」 「じゃぁ」 正孝の電話はいつも ためらいもなく切れる。
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