プロローグ

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雨が、つめたい。 今日は、雨宿りできそうなところがない。 ――シトシトと雨が降り続いていた。 その中を、ぼろギレの所々破れたり穴があいているフードを目深にかぶり歩いている子供がいた。 フードは意味をなさず、身体の芯まで冷えていた。 季節はまだ寒い。 この国では、春陽(シュンヨウ)・灼火(シャッカ)・寒霜(カンソウ)という季節がある。 今はまだ寒霜で、雪が降らなくなってきたとはいえ夜になれば氷点下に近くなる。 雨がやむのが先か、意識がなくなるのが先か… フラフラとした足取りでたどり着いた先は…
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