俺の名は!

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そこは、とある街の宿屋。 その宿屋の食堂のカウンターで一人、食事をしている若者がいた。 「追加で、おいしいビーフシチューよろしく!」 「うちのビーフシチューはいつでもおいしいよ!パンも一緒にどうだい!?」 「おかみさんには負けるなぁ。パンも貰うよ」 ホカホカに温まったビーフシチューとパンを宿屋のおかみがすぐに出してくれた。 スプーンにすくい、フーフーと息を吹きかけて少し冷ましてから口に入れる。 「…!さっきの卵にごはんが包まれてるのもおいしかったけど…これもウマい!」 「だろっ?もう一個パン食べな!これはおまけしとくよ!」 「マジで?ありがとう!」 ガツガツと勢いよくビーフシチューを口に運び、パンをかじる。 見た感じ雑な食べ方だが、食べ終えた後の器はきれいに片付けられている。 「あんた、若いのに残さずきれいに食べるねぇ」 「きれいに食べるのに年は関係ないって!それに、それだけおいしいってこと!」 貧富の差が激しい情勢の中、最近の若者は…と言われるような輩は物のありがたみが全く分かっていない。 貧乏人は人とも思っていない節もある。 もちろん、貧乏人にも若者はいるがほとんど物乞いやはした金しかもらえない仕事をしている。 いま、この世界では血筋が物を言う。 金持ちに生まれたらそれだけでいろいろな特権がある。
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